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パトリシアが選ぶお薦めの1冊 Recommended Books

表紙

カンボジア発 ともに生きる世界

著者の後藤文雄神父様は、神言会の神父様で、1929年生まれの93才です。この本は神父様が70才代の20年前に出版された本です。

神父様は思いもよらないことから、カンボジア難民の子供たち14人の里親となります。そこから、神父様とカンボジアとのつながりが始まります。

この本を読み進めていくと、びっくりしてしまう場面が度々ありました。〝里親になる司祭〟も私は聞いたことがありませんでしたし。当時のカンボジアの国の事を良く知らない私は、素晴らしい国が、ゆがんだものになってしまうことに恐ろしさを感じました。神父様の選びが、神父様と里子の出会いが、神父様とカンボジアの出会いへと変化していきます。新たに国を作り直していくために必要なものは、物資·お金·技術だけではありません。また人々が貧困を抜け出すためは教育が必要であり、そのために学校が必要となります。小さな村々から声がかかり、小学校作りに奮闘する神父様とコーディネーターとなり、適切なアドバイスを送る里子とのやりとりを読んでいると、神父様が日本で里親になり、子供たちに教育を受けさせたことが価値の有ることと分かります。そして、誰もが教育を受けることによって、人生の中で選択の幅が広がることも。

この本の中に、聖書の言葉が時折出てきます。神父様ご自身の気づきが書いてあったり、出来事の中からの解釈·解読は「なるほどな」と思うし、今まで考えもしなかった気づきが私の中にもありました。ひとつにはマルタとマリアの話です。マリアは「良い方を選んだ」とイエス様に言われるのですが、神父様は言います。マルタがイエス様にマリアのことを愚痴らずにいて、マルタが自分の仕事をしていたならば、マルタはマルタらしくマルタでいることができたと。今まで何度も読んだ箇所ではあるけれど、違う目で今後読めそうと思いました。

この本の中でのエピソードなど、お伝えしたいことは山ほどあります。この本に心が打たれるのは何故?と問いかけていくと「神を愛する」「人を愛する」そのことにご自分をかけている神父様の姿に、力をもらい、自分の生ぬるさに気づかされるからだと思います。全ての人が、神父様のように人生を送れるわけではありません。ただ、神父様がおっしゃる通り「マルタは、マルタらしく生きる」自分の良さ、神様から頂いたタレントを生き抜くことが、私たちの心に平和をもたらしてくれることになると思いました。

私たちの生活の中に、〝みことば〟は輝いているかな?そんなことにも気づかされ、読んでよかったな。と思う本でした。

 

 

後藤 文雄 著
女子パウロ会 刊
1200円+税

更新日:2023年7月4日


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執筆者

パトリシア

本が大好きな広報部員。夏は十勝にある広大な農地で畑仕事に精を出し、札幌と十勝を行き来しながら、晴耕雨読の日々をおくっています。
洗礼名について/パトリックの女性名。聖パトリックはシャムロック(アイルランド語でクローバーの意味)が象徴。アイルランドの守護聖人。



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