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パトリシアが選ぶお薦めの1冊 Recommended Books

聖家族を幻に見て-カタリナ・エンメリックによる-

アンナ・カタリナ・エンメリックは二百年ほど前にオランダに近いドイツのウエストファリア地方に生まれた農家の娘で、非常な困難の後に宿望の修道女となり、聖痕を受け、またキリストの生涯その他いろいろの視幻を受け、五十一才にしてその聖なる生涯を終わったが、ここに訳出したものはその視幻の一部である。
 もちろん、これらは教会から公に認められたものではないが、多くの聖職者から黙想書としてすすめられ、各国語に訳出されている。

と、はじめに書かれています。あとがきには、次のように書かれています。

 聖書にはきわめて簡単に述べられ、出来事の前後のつながりがはっきりしない点があるが、この視幻によってとくに降誕からエジプトへの避難までのいきさつが生き生きとえがき出され、わたしどもの聖家族への愛着も一層深められると期待している。

カトリック教会は、イエス・キリスト、聖マリア、聖ヨゼフを聖家族とよびます。
私たちはマリアの両親アンナとヨアキムの出会う前や結婚、マリアの誕生などを想像したことがあるでしょうか?マリア様の幼少期は?ヨゼフ様は?私の知っているヨゼフ様のご絵はいつもお年寄りだったけどその理由もこの本の中で見つけました。百合の花を持っている若めのヨゼフ様の事も。子供の頃、日曜学校で毎年のようにしていたご降誕の聖劇も聖書には書かれていないけど、ヨゼフ様、マリア様をはじめ3人の賢者(博士と呼ぶ場合もある)もこのような日々をすごしていたのかと知りました。この本の中では、マリア様の誕生に至るまでの事が書かれています。当時の様子も、本を読み進めていくと私の想像でしかない所もありますが、知らなかったことを知る機会にもなります。この本の中に出てくる人どの人も祈っている、祈るために自分の場所を離れる。依存し合うのではなく、それぞれ一人ひとりが神と出会い、その使命を、悲しみや苦しみの時もあるけど、担って過ごしていく。騒ぐのでもなく静まりの中で。
聖家族と出会った人々の心が変えられていく様子。これは現代の私たちも祈りを通して、人を通して神と出会い、知り、変えられていくのと同じように思えます。直接聖家族と出会えた人たちの事をうらやましくも思いますが、この本の中で私もその中の一人として存在しているのかもしれません。

ご降誕を迎える頃は年末・年始になってしまい、何となくバタバタと時が過ぎてしまいます。ご降誕はもちろんエジプト避難について、この本の中では細かく書かれています。私たちを神様に、聖家族に近づけてくれる本だと思います。
「受難から聖母の被昇天」までは『キリストのご受難を幻に見て』が光明社から出版されています。

 

 

坂井 兵吉  訳

光明社    刊

1300円+税

更新日:2024年3月8日


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執筆者

パトリシア

本が大好きな広報部員。夏は十勝にある広大な農地で畑仕事に精を出し、札幌と十勝を行き来しながら、晴耕雨読の日々をおくっています。
洗礼名について/パトリックの女性名。聖パトリックはシャムロック(アイルランド語でクローバーの意味)が象徴。アイルランドの守護聖人。



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