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パトリシアが選ぶお薦めの1冊 Recommended Books

表紙

美しいものを信じて-兄弟を通して神さまのもとへ-

本の帯に「わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである」(マタイ25・40)というイエスのみ言葉にあるとおり、私たちが隣人に対してすることを、イエスご自身になされたこととして受け取られます。神さまへの愛と、隣人への愛は切り離すことができないということ、兄弟とのやりとりは、神様とのやりとりになるということでしょう。(「あとがき」より)とあります。フォコラーレの精神、生き方を表していると思います。

 

はじめにフォコラーレって何?と思いますよね。なりたちを簡単に説明します。
そもそもフォコラーレとは、北イタリアの田舎にある素朴な暖炉のこと。3段式になっていて、下段は暖房、中段はオーブン、上段の鉄板で煮炊きをすることができるものです。
キアラ・ルービック(1920~2008年)とその仲間は、空襲の時に防空壕の中で、聖書を開いて黙想したり、ロザリオをしていました。空襲がやんだら、それぞれ職場、学校に戻っていくといった生活をしていました。
戦後、キアラ達が集まっていると、司祭、修道者、街の人たちが、あそこのフォコラーレに暖まりに行こうと集まっていった。それは、身体のみならず精神的にも暖まるために。
トレントの司教さまが、みんながあそこのフォコラーレに行こうと言っているのを聞いて、この集りをフォコラーレと名前をつけました。ヴァチカン認可の公式名称は「マリアのみ業」です。

 

まえがきには、「私たちは、神を直接仰ぎ見たり、神に直接仕えたりすることはできませんが、一方、神の似姿として造られ、神の子どもとなった兄弟姉妹を愛することによって、人間の中におられる聖なる存在、父なる神を愛することができます。」とあり、そしてすすめの言葉には「愛することは、物語だけではなく、生きることです。愛は生きることによって伝えられます」と長崎の高見大司教は書いています。
そうこの本は、自分はどのようにしてこの精神を生きているかの、一人ひとりの分かち合い、福音的愛の体験談の本なのです。大人も子どもも関係ありません。実践してみたらこんな結果になりました。そして、今苦しんでいる、悲しんでいる貴方に伝えたい。その事が書かれています。1ページ目から読み始める本というよりは、タイトル事に気になるところから読み進めて行ってもよいと思います。体験談を読むと、自分の生活の中で、私は何ができるのだろうか?今の私の生活の中で愛するためには、どうすればよいのかな?そんな自分を振り返り、自分自身で観点を変えていけると思います。み言葉が、私の生活からかけ離れたものではなく、私の中でかみ砕かれ、深められていく。神様のことをもっと知りたくなる。そして自分自身のことも知ろうとする。

 

誰もが悩み苦しみながら、でもあきらめずに、神様により頼んだり、自分を捨て愛を行うなら光が見えてくる。そんな体験を聞いているようです。それは、キアラ・ルービックのいう「見捨てられたイエス」を知ることにもなります。
この本で体験を語っているのは、世界中の方々です。日本人だけではありません。カトリック信者であることが、人間であることが、人種とは関係ないとあらためて気づきました。神様は、私たちにいつも語りかけて下さっています。それは、私たちの心の中にであったり、人を通してであったりします。この本を読んで、もっと神様からの語りかけに気づけたらいいなあと思いました。

 

フォコラーレ   編集・監修
サンパウロ    刊
1200円+税

更新日:2021年6月2日


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執筆者

パトリシア

本が大好きな広報部員。夏は十勝にある広大な農地で畑仕事に精を出し、札幌と十勝を行き来しながら、晴耕雨読の日々をおくっています。
洗礼名について/パトリックの女性名。聖パトリックはシャムロック(アイルランド語でクローバーの意味)が象徴。アイルランドの守護聖人。



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