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パトリシアが選ぶお薦めの1冊 Recommended Books

いのちを紡ぐ聖人たちのことば

聖人伝というと一人ひとりの聖人を詳しく書いてあったり、その生涯が書かれている物が多いのですが、この本は著者が書いているように「聖人のことば」を通して聖人の全貌を浮き彫りにしています。
「聖人のことば」に学び、その光に照らされながら信仰の道を深めていける、そのような本です。
一人ひとりの聖人の記事は、それ程多くはありませんが、50人以上の様々な時代の男性・女性の聖人が紹介されていて、興味深く読むことができます。参考文献も出ているので、深めてみたい聖人の本を知ることもできます。

 

カトリックでは、洗礼を受ける時に洗礼名(霊名)を頂きます。大人になって洗礼を受ける方は、聖人伝を読んで洗礼名を決める方も多いと思います。その聖人の生き方へのあこがれ、こんな私になりたい、同じ道を歩みたい。その感性にぴったりくるなど。

 

聖人の生き方は、カトリック教会の豊かさを表していると思えます。神は一人ひとりを愛し、一人ひとりの個性・持ち味を〝その人らしく〟生きるように、またその人らしく神と人々への愛に生きることを本当に喜んでくださる。聖人はその道を私たちに教えてくれます。時代はちがっていても、生きる道は同じです。それはいつか私たちがこの世の旅路を終えて、神と直接出会う、顔と顔をつき合わせる日がやがて来るということです。その日を迎える時まで、どのように生きていくかということです。その道を聖人たちは、神から頂いた「私」を自分らしくどのように生きたか生き抜いたかを教えてくれます。

 

私には次のような体験があります。20代後半にフランス人の宣教師に出会いました。体も大きく、手も大きく・・・。ある日、神父様がその大きな手に、お菓子を沢山おいて私の前に差し出し、「好きなのを選びなさい。」と言いました。私は迷っていました。そこで神父様は「小さきテレジアのように」とおっしゃったのです。私は、にっこりして「全部!」と答えました。
小さきテレジアの有名な話と思いますが、お姉さんが修道院に入る時にお人形を2人の妹(一人はテレジア)に差し出して、好きなものをあげると言った折、小さきテレジアが「全部!」と言ったのでした。それは、神さまから頂くものは、自分にとって心地よい物も悪い物も全部頂くという心の現れです。また日々の生活の中に、フランス人である小さきテレジアが神父様にとって、本当に身近な聖人であると知った瞬間でした。

私たち日本人にも、世界的に有名な26聖人がいます。今のところ福者であるペトロ岐部司祭と187殉教者、ユスト高山右近もいます。もちろん無名の聖人も。

私の霊名の聖人は、この本にはありませんが、私が子供のころから好きだった聖人が数名あり、記憶に上書きしました。

カトリック教会では、聖人たちに取り次ぎを願って祈ります。そのお祝い日にはお祈りします。

子供の頃、聖人へ祈りをするようにと神父様かシスターに教えられました。聖人の記念日には、天国でパーティーがあって、神さまはその日の聖人の祈りを特別に聞いてくださるから、その日の聖人に祈りなさいと・・・。その言葉を思い出します。

 

 

須永 和宏   著
ドン・ボスコ社 刊
1100円+税

更新日:2020年3月23日


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執筆者

パトリシア

本が大好きな広報部員。夏は十勝にある広大な農地で畑仕事に精を出し、札幌と十勝を行き来しながら、晴耕雨読の日々をおくっています。
洗礼名について/パトリックの女性名。聖パトリックはシャムロック(アイルランド語でクローバーの意味)が象徴。アイルランドの守護聖人。



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