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パトリシアが選ぶお薦めの1冊 Recommended Books

食べて味わう聖書の話

お料理の本かな?と思いましたが、タイトル通りに「聖書の話を味わう」本でありました。

「聖書の話」は、天地創造から始まります。最初に、神は世界と人間を造ります。そしてすぐに、神は人間が食べることができる物のことを教えます。
旧約聖書を順に追いながら女性を中心にこの本は書き進まれます。

創世記ではアダムの「向かい合う同伴者」としてエヴァが与えられます。この時代は、なつめやしの実デーツによって人々の命は救われました。
次にアブラハムの妻サラが出てきます。この時代の女性たちは、牛乳を加工していきます。チーズ、ヨーグルトなどです。
塩の柱となったロトの妻も出てきます。神さまが、人間を助けようとお命じになったことにロトの妻は従いませんでした。罰のためにそうなったと私は思っていましたが、この本では神のいつくしみやロトの妻のやさしさという別の角度からの観点で書かれています。

次はサラの息子イサクと結婚したリベカです。一言でいうなら知恵のある女性です。もてなしの精神を実行する女性でもあります。旧約聖書を読んでいくと、人間が進歩していくことに気づかされますが、この時代は女性が活躍する時代のようです。

次は出エジプトの時代。ミリアムが出てきます。神から遣わされた指導者として長きに渡り覚えられています。また、エジプト時代の「蜜」は蜂蜜ではなく、果物の「蜜」だったようです。

次に、ソロモンの時代は富と権力の時代です。戦争などで夫を亡くした貧しい寡婦も沢山現れます。この頃から、農業カレンダーも使われ始めます。
聖書は、人々が荒れ野の旅の苦しみと食べ物の大切さを忘れないようにすると共に、「人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つひとつの言葉で生きる」ことを忘れないようにすることを教えます。
断食は、荒れ野での生活を記憶し、貧しい人々の生活に思いをはせることにもつながりました。

イエスの時代に入り、イエスがまず行ったのは「説教」ではなく「癒し」でした。当時は、多くの人々がさまざまな疾患や障がいで二重に苦しんでいました。イエスが神からのメッセージとして語ったのは、障がいの有無にかかわらず神の慈しみは一人ひとりのいのちに現され、神はすべての人が「神の子どもたち」として幸せに生きることを望んでいるということでした。
「おさな子を私のところへ来させなさい。」と言ったイエス。この時代の赤ちゃんは、3人に1人が1歳になる前に死んでいました。そのことを知ると、想像する景色が変わります。
イエスの時代の日々の食事は、パンと種々のレンズ豆とひよこ豆。それと野菜です。そして、ぶどうとワイン、ワインビネガーです。ギリシャ語の聖書によると、男性だけではなく女性もイエスと共に食事をしたようです。

この本の最期の方には、レシピもあります。それぞれの時代の食事が、写真と共にあります。ちょっと気楽に作ってみようかな?と思うものもあります。
この本を読んで、聖書の中に出てくる女性たちへの見方が広がります。特に旧約聖書は断片的に読むことが多いので、一人ひとりのことを思いながら旧約聖書を読んでみるのもおもしろいかなと思いました。

 

山口 里子      著
オリエンス宗教研究所 刊
定価     1500円+税

更新日:2019年6月21日


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執筆者

パトリシア

本が大好きな広報部員。夏は十勝にある広大な農地で畑仕事に精を出し、札幌と十勝を行き来しながら、晴耕雨読の日々をおくっています。
洗礼名について/パトリックの女性名。聖パトリックはシャムロック(アイルランド語でクローバーの意味)が象徴。アイルランドの守護聖人。



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