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パトリシアが選ぶお薦めの1冊 Recommended Books

心を癒す言葉の花束

この本は、上智大学名誉教授で、ドイツ人のカトリック司祭によって書かれています。「死の哲学」を30年にわたって教えられた方です。
本の成り立ちとしては、「苦しみ、光、愛、勇気、受容、死、希望、今を生きる」というテーマがあって、そのテーマに合わせて著者がひとつの「コトバ」を選び、話をしています。
著者が司祭だから、大学教授だから・・・・このように私たちに伝わるものがある、それより何よりも私が強く感じたのは、第二次世界大戦を体験したドイツ人である。このことでした。所々に書かれていることを読むと、胸が苦しくなります。伝わるものは、大きいです。

この本の中には、もちろん心を癒される言葉もありますが、苦しみの中にある方、病気の方、愛する方と死別した方々と共にいる時に、どのような心、言葉を持って、行なうと相手の方にも自分にもよい方向に持って行くことが出来るのかが、具体的に、段階的に書かれています。心があるのに方法を知らないために実りをみない、増々悪い方向へと向かってしまうことは度々ありますから。

死を迎えるための私の心の準備は、どうでしょうか?いつかはこの肉体は灰になります。今、エンディングノートという物も出ていますが、心についてはどうでしょう。
中高年といわれる世代に入ってからの時間の過ごし方、人との付き合い方にも変化が見られます。どの世代でもそうですが、未知の世代へと年を経て入っていくわけですが、特に中高年・・・は死に近づいていくことを実感していく世代になります。
生きていく中で、このことを知っていたら、もっと心を軽くして生きていけたのに。忍耐することができたのに。などと気づかされることが、この本の中にはあります。大事なことは、今よりも良く生きることですから。この本の中から、次の物を選び紹介致します。

明日のことまで思い悩むな。
明日のことは明日自らが思い悩む。
その日の労苦は、その日だけで十分である。
新約聖書『マタイによる福音 6章34節』

あれこれ悩んでいるとき、今、この時間をどう生きるかが抜け落ちてしまいます。つまり、未来に対する心配でいっぱいになり、今という時間を無駄に過ごしているのです。
何はともあれ、今日一日を精一杯生きましょう。明日はまた、別の新しい日がやって来ます。明日のことは明日に。今の一歩を大事に踏み出してまいりましょう。

 

アルフォンス・デーケン 著/集英社 刊/760円+税

更新日:2015年11月20日


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執筆者

パトリシア

本が大好きな広報部員。夏は十勝にある広大な農地で畑仕事に精を出し、札幌と十勝を行き来しながら、晴耕雨読の日々をおくっています。
洗礼名について/パトリックの女性名。聖パトリックはシャムロック(アイルランド語でクローバーの意味)が象徴。アイルランドの守護聖人。



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