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パトリシアが選ぶお薦めの1冊 Recommended Books

ルルドの奇跡 聖母の出現と病気の治癒

「ルルド」というのは、フランスのピレネー山脈の北側の裾野に位置する小さな町です。1858年、この町に住む一人の少女、ベルナデッタに聖母マリアがご出現されたことで有名になります。
ご出現された場所は「マッサビエルの洞窟」と呼ばれるごみ捨て場でした。ベルナデッタが、貧しい家庭での生活を助けるために、そこで拾い物をしている時に1回目のご出現がありました。9回目のご出現の時に、泉に行って水を飲むようにと、聖母マリアはベルナデッタに言います。そこには泉はなく、ベルナッデッタが手で掘ると、はじめに泥水が湧き出てきました。数度捨てると、泥水はきれいな水になりました。その水を、町の人々が飲んだり、身体の具合の良くないところに塗ったりした結果、病気の治る人が出てきました。その水は、150年以上経ても枯れることなく今も湧き出て、多くの病人を治癒に導いたり、力づけ、慰めています。

この本の中では、そのことについても、勿論詳しく書かれています。私は、ルルドの本、聖ベルナデッタの本を何冊か読んだことがあります。どの本も良いのですが、この本を選んだ理由があります。それは、ご出現当時のフランスの時代背景、家族制度などが詳しく書かれていて、ルルドの奇跡について理解を深めてくれるように思うからです。写真や絵が豊富です。現代の写真もありますが、ご出現当時の様子、多くの病める人々がどのように巡礼に来ていたかなどを知る事ができるものもあります。

この本の序文の中に『本書は「ルルドの奇跡」の経過と事実を淡々と語りながら、同時に人々はルルドで聖母の出現という出来事に向き合い、マリアのまなざしのもとで、みずからの内面を見つめ、マリアの恵みを願う。(中略)今日生きるわたしたちに、ルルドの持つ意味を静かに、しかし厳しく問いかけていると言えるでしょう。』とあります。この言葉に私は、ひかれました。

今、泉が湧き出ているマッサビエルの洞窟の片面を囲むように下からロザリオ大聖堂、クリプト(地下聖堂)、無原罪のおん宿り大聖堂があります。“無原罪のおん宿り”という言葉は、ベルナデッタが、聖母マリアご出現の折に、「あなたのお名前は?」とたずねたところ、聖母マリアがご自身でお答えになられたものです。 ガブ川をはさんで、最後のご出現の時に、ベルナデッタが立っていたところに、聖ベルナデッタ教会、少し離れて聖ピオ10世地下聖堂があり、その一帯は“聖域”と呼ばれます。空気が違う一帯です。癒しの場であり、神と一人ひとりが深く出会う場所でもあります。

ベルナデッタは聖母マリアのご出現の後、ヌベールにある愛徳姉妹会という修道会に入ります。そして1933年12月8日、修道女としての徳を認められて、聖人となります。4月16日を記念日としてお祝いします。 また、初めてご出現のあった2月11日をカトリック教会では「病者の日」として特別に、病人の方々のためにお祈りを捧げます。

エリザベート・クラヴリ著(遠藤 ゆかり 訳)/創元社 刊/1,600円+税

更新日:2015年9月12日


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執筆者

パトリシア

本が大好きな広報部員。夏は十勝にある広大な農地で畑仕事に精を出し、札幌と十勝を行き来しながら、晴耕雨読の日々をおくっています。
洗礼名について/パトリックの女性名。聖パトリックはシャムロック(アイルランド語でクローバーの意味)が象徴。アイルランドの守護聖人。



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