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ミサの鑑賞

『ミサの鑑賞』 ―感謝の祭儀をささげるためにー

ミサはカトリック教会の典礼の中心をなす祭儀です。カトリック信者とは、カトリック教会に伝えられているキリスト教の信仰を受け入れ、洗礼によって、正式にカトリック教会の一員となった人の事です。洗礼を受けて正式にカトリック信者になることによって、ミサの中で聖体を拝領する資格が与えられます。

カトリック信者たちが日曜日ごとに通う教会は、広く言えば、神との出会いの場であると言えます。キリスト教の信仰を生きる信者たちは、日曜日の教会のミサにおいて彼らが信じている神と出会っているのです。神によって生かされている自分自身に気づき、神のみもとに立ち戻って、創造主である神への感謝をささげるために日曜日のミサに集うのです。

ミサは、神の独り子イエス・キリストの愛の命に一つに結ばれて、イエス・キリストとともに父なる神にささげる感謝の祭儀です。このミサをふさわしくささげることができるよう、ミサの理解を深めていけるようにとこの本は書かれました。

第1部はミサの成り立ちです。成り立ちとは、ミサがなぜこれほど大切なものとされているのかという理由です。第2部では、ミサの式次第に沿って解説されています。表面的なことの解説ではなく内面的なことの意味について書かれています。
私たちは集団の中に埋没するのではありません。自分を忘れて、集団的熱狂に身をゆだねるのではありません。私たちは最も個人的なイエスとの体験を持ち寄ることによって、ともに祈ることができるようになるのです。

「みことば」に耳を傾けること、それはイエスはみことばを語るだけではなく、神のみことばそのものであるお方だからです。ミサにおいて私たちは聖体のうちに現存されているイエスに養われるだけではなく、みことばとして現存されるイエスによっても、いのちの糧をいただくのです。
最後の晩餐の記念としてのミサは、イエス・キリストの十字架の死と復活という、信仰の神秘の中心に私たちを招き入れていきます、
司祭は父なる神に聖霊を遣わして下さいと祈ります。聖霊はイエス・キリストがそうであるように、父なる神からのものです。その聖霊がパンとぶどう酒をイエス・キリストの体と血に変えることによって、私たちのうちにイエス・キリストを現存させるのです。
私たちを生かすために自らを渡されるイエス・キリスト、そのために自らのいのちを十字架の死に引き渡されるイエス・キリストです。
イエスが十字架の上で成し遂げられたこと、今、私たちがその記念として行っているミサを結びつけているのは、私たちのために与え尽くされている、同じイエスのいのちなのです。
私たちに復活のキリストは、復活のいのちを約束し保証するだけではなく、今すでに、信仰によってキリストに結ばれている私たちのこの世のいのちの中に、キリストの復活のいのちを注ぎ込んでくださるのです。
私たちはご聖体のイエス・キリストを迎えることによって、イエス・キリストのすべてをこの身に受けるのです。

主の祈りは私たちへのイエス・キリストの愛の招待状なのです。「み名が聖とされますように」と祈りますが、神のみ名が示されたということは、私たちにとって神はどのようなお方であるのか、そのことを知らされたということです。私たちが神の名を知ることによって、神との関係の中にある真の自分を発見すること、これがイエスがもたらした救いの中身です。
この本を読んで、ミサにぼお-っと与っている(参加している)ことに改めて気づかされます。私たちはミサの素晴らしさを自分の理解できる範囲内でしか知りえません。でも聖霊によって、わかりえなかったことをわかるようにしてもらえるのも事実です。
みかんなどの皮をむいて実を食べるとおいしいとわかるのと似ています。ミサも形式ではなくて、その中身をよく知ると、私の中でよいものが、感性、センスが育まれていく、磨かれていくように思えます。
初めてミサに与ると、突然聖歌が始まったり、立ったり座ったりと忙しく感じたり、訳がわからないと思ってしまうかもしれません。神さまが、一人ひとりをかけがえのないものとして愛してくださっていること、私たちの生活、人生に触れてくださりたいと願っていること。そんな事をミサを通して知って頂けるとうれしく思います。
「神は愛」なのですから。

 

吉池 好高      著
オリエンス宗教研究所 刊
定価   ¥1200+税

 

更新日:2019年2月13日


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執筆者

パトリシア

本が大好きな広報部員。夏は十勝にある広大な農地で畑仕事に精を出し、札幌と十勝を行き来しながら、晴耕雨読の日々をおくっています。
洗礼名について/パトリックの女性名。聖パトリックはシャムロック(アイルランド語でクローバーの意味)が象徴。アイルランドの守護聖人。



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