心洗われる古今の名作22選 名作が教える幸せの見つけ方
今年92才になられる聖心会のシスターが2024年2月に出版された本です。
月刊「致知」で長年連載を続けている「人生を照らす言葉」の中から、特にいま紹介したい名作を選んで1冊にまとめたものです。「優れた文学作品は、幸せとは何かという人生の命題を呼び醒ましてくれる力を持っています。」と本を開くと記されています。
この本の中でシスター鈴木が何度も書かれていますが、名作を読むときの「私」の年代によって得る物が違っているとあります。その通りと多くの方が感じるのではないでしょうか。1冊の本を何度も読み返していくことで、新たな気づきも生まれます。その気づきが、思いもよらない所に自分を連れて行ってくれます。とても悲しくなる事もあるかも知れません。でも、そこにとどまることなく、真の解放、心の自由を、心の平和をみつけることにもなるでしょう。自分の本心に気づくことも大切なことと思います。
新見南吉作の「ごんぎつね」の物語は、多くの方が読んだ事のある本としてあげるのではないでしょうか。「ごん」のこの物語をシスター鈴木は丁寧に解説しています。「ごん」のような行動、心持を私たち誰もがしてしまうでしょう。 そして、「ごん」のことを「バカみたい」と人の物を盗って良い事をしたつもりでいるなんて!と考える人もいるでしょう。私たちも同じように相手の本当の思いを考えずに自分の思い、考えで裁いてみたり、好意を持ったりしてしまいがちです。「ごん」の本当の心の奥にある物を知ることができる人は限られています。でも、何度も何度も出来事を思い巡らしていくと、わかることがあります。自分のアホさかげんに笑ってしまうこともあります。愚かさに、相手に申し訳なくなることも・・・・。
「ごん」の物語は単純なように思えるけれど、とても深いお話と思いました。この本を読んでいると、シスター鈴木の今回の本は、新しい自分を知り、自分で自分を縛りつけていた物から、自分自身を解放する手助けをしてくれる本だと思います。
そして、シスター鈴木の言われる通り自分に与えられた役割を知り、出会う人とお互いに認め合い、許し合い、愛し合える人間関係を築くことができたら、こんな幸せな人生はありません。
鈴木 秀子 著
致知出版社 刊
1650円+税
更新日:2024年8月20日
執筆者
パトリシア
本が大好きな広報部員。夏は十勝にある広大な農地で畑仕事に精を出し、札幌と十勝を行き来しながら、晴耕雨読の日々をおくっています。
洗礼名について/パトリックの女性名。聖パトリックはシャムロック(アイルランド語でクローバーの意味)が象徴。アイルランドの守護聖人。