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パトリシアが選ぶお薦めの1冊 Recommended Books

「キリスト教とはなにか9」表紙

キリスト教とは何か⑨  混迷の闇を越えて

「キリスト教とは何か?」のシリーズ本のひとつです。粕谷甲一神父様の講座を本にしたもののように、読んでいると感じられました。神父様は2011年に87歳で帰天されています。

 

カトリック教会って、けっこう決まり事があるようでない。鷹揚なところもあって、教会(小教区)によって、良い事と悪い事が違ったりします。もちろん、ミサ・秘跡は変わらない、変えられないものであることにはちがいありません。この本の中で、洗礼を受けていない人と結婚式についての話があります。粕谷神父様の時代と今の教会の考え方には、若干の違いがあるようにも思いますが、日本の中にあっても、地域性や宣教師の方々の出身国の違いなどによって、そこに自分を置いた時に、良し悪しではなく、「これもありかな」と思うところがあるように書かれていて、教会の中にある寛大さ、寛容さをまた認識します。そして、宗教とは自らの自由の決断で執着を離れ、孤独の中に独り立つ勇気をいただくことです。一切の今までのつながりが消えても、「神様だけあれば」という、あの「なれかし」の実りとして御子イエスは暗闇の夜に誕生された。とあります。

 

教会の中で話される〝自由〟についても書かれていて、とても納得がいきます。

 

『人間関係の中で、人との関係を切りたいと思う時に、もう少し時間をかけなさい。神さまだってあなたにずいぶん我慢しているんだよ。神さまの忍耐を思うならば、あなたの忍耐なんて小さなものじゃないか。時間をかけなさい。いきなり何とかするということ以外に、前もってやるべきことがあるのではないか。イエスさまは、必ず決定的な状態がくるとはっきりおっしゃっています。そして、自由というのは、あれもできる、これもできるという選択の自由を言うだけだはなくて、決定的な状態を生み出す権利、可能性、力を言うのです。私たちの行為が、もし自由に実行されたならば、それは決定的な結果につながる。それが自由というものなのです。』

と書かれていて、自分が神さまからいただいた時間と自由意志について、また考え、思い起こすことを学びました。この本は、かなり前に書かれたものなのに、新しく感じます。普遍の教会という言葉が自然と思い浮かびます。自分が頂いている、頂いてきた恵みを思う時に、神様に感謝しかありません。

 

ヨハネ8章1~11の姦通の女の話の深い読み方が書かれています。このお話は何度も聞いたことがあります。神父様が、『今回は「記憶の聖化」が「回心」を生み、それが「和解」を生むという、謝罪宣言の基本線をこの中に読む』とおっしゃって、話を進められます。

 

この本を読みながら、教会が、神が私たちに与えてくれているものの大きさ、自分がそれを知ろうともしない、覚えようともしないことにも気づかされています。教会の勉強会に参加しているように読める本です。コロナ禍で勉強会などが減っているので、このシリーズを読んでみるのも良いのでは?と思いました。

 

 

粕谷 甲一    著

女子パウロ会   刊

1200円+税

更新日:2022年4月30日


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執筆者

パトリシア

本が大好きな広報部員。夏は十勝にある広大な農地で畑仕事に精を出し、札幌と十勝を行き来しながら、晴耕雨読の日々をおくっています。
洗礼名について/パトリックの女性名。聖パトリックはシャムロック(アイルランド語でクローバーの意味)が象徴。アイルランドの守護聖人。



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