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パトリシアが選ぶお薦めの1冊 Recommended Books

人と出会うこと

この本の帯には「もし、幸せになりたいなら、まず人と出会うこと。出会うことで理解が深まり、心にやすらぎも訪れる。一人ひとりが癒されるときに、社会も癒される。」とあります。

この本は、ジャン・ヴァニエが2004年のシンポジュウム「他者と出会う」で行った講演の筆録です。

「人と出会うこと」そのことは「神と出会うこと」でもあり、本当に出会うとは、あいさつのみではなく、出会った人の話に耳を傾けて理解すること。その人を動かすものは何かを見出していく、そのためにも時間をかけて話し合っていくこと。

わたしたちは皆、恐れと偏見を抱いています。わたしたちが変わらなければならないのは、内面に大きな緊張と利己心を抱えているからです。

どう自分を変えなければならないか、それが重要であり長い道のりです。自らが解放され、壁を壊して、自分の見方にとらわれず理解を深めましょう。神の霊が与えられれば、人間としての貧弱な自分の目をとおしてではなく、神のまなざしで人々を見られるようになります。変容したのです。水はぶどう酒に変えられるのです。変わりはじめるには、まずそれを望むことです。

私たちは恐れに身を任せるわけにはいきませんから、それとどう向き合っていくか、です。恐れに直面しなければなりませんが、ひとりではなかなかできないので、だれかに助けてもらうのです。私たちは、壁の後ろに、集団の陰に、また習慣のうちに隠れるのです、宗教で身を隠すことさえあります。

だれかに心から愛され、価値を認められ、理解され、話を聞いてもらえると気づけば人は変わりはじめます。恐怖から鎧っていた心の壁を壊して本当の自分をあらわすのです。こうした壁を壊し、だれもが神にとって大切で、愛されるために生まれてきたのだと気付かせるために、神の言葉は人となったのです。神はゆるし、神は慈悲です。ですから神を恐れることはありません。

イエスは弟子たちに傷口を示されました。イエスは一人ひとり「愛している」と言えるように愛の極限まで進まれ、傷をとおして、わたしたちは神から力が与えられます。イエスはわたしたちを前へと押し出します。世界に愛の道具として。そのままの自分であってよいと一人ひとり発見できるように。わたしたちはともに生きる仲間を必要としています。と同時に、神がわたしたちを守ってくださっているということを知っていれば、自分で壁を作らず開かれていくことでしょう。

このようなことが書かれていました。

今、生きづらい社会と言われています。生きてきた経験の中で、自分で閉じこもってしまうことも度々あると思います。あらためて、神に愛されている自分、そのことを知る時間を持つことが、とても大切と思います。この本を通して、神とあなたとの時間が深まっていくことをお祈りいたします。

 

 

■ジャン・ヴァニエ 著(原田 葉子 訳)/女子パウロ会 刊/800円+税

更新日:2015年3月5日


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執筆者

パトリシア

本が大好きな広報部員。夏は十勝にある広大な農地で畑仕事に精を出し、札幌と十勝を行き来しながら、晴耕雨読の日々をおくっています。
洗礼名について/パトリックの女性名。聖パトリックはシャムロック(アイルランド語でクローバーの意味)が象徴。アイルランドの守護聖人。



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