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パトリシアが選ぶお薦めの1冊 Recommended Books

やすらぎの贈り物

アメリカ・シカゴの枢機卿ジョセフ・バーナーディン人生最期の3年間の回想録です。

回想は、偽りの告発の訴訟事件、進行がんの宣告を経て、人生最終段階である死への準備になっています。著者の死への向い方は、「死はこの世のいのちから永遠のいのちへの移行と考えているキリスト教信者にとっては、死は友なのだ」だから、不安や恐れの中にとどまらないでいられることを教えてくれています。

この本の中で、著者がもっとも伝えたいことの一つに、“日々の祈り、すなわち神との時間をとることがどれほどたいせつなことか、そこからもたらされる恵みがどれほど大きなものであるか・・・・。”があります。

著者は、私たちに祈りについて伝えています。それは、まず祈りには二つの重要なポイントがあることです。第一には、使い方が正しくなくても、祈りの時間を誰か他の人に与えないでただ根気強く続けること。第二には、時間を与えさえすれば生涯を通じて、少しずつ神と結ばれるようになる、ということです。また、病の日々には「元気なときに祈りたまえ。病気になるまで待っていると、祈れないかもしれないからね」。「最良の時にしっかりした祈りの生活習慣を育てなさい。そうすれば、弱った時にへこたれないでいられるから」と信者に言い続けます。そして、神は本当に私たちを助けてくださる方であり、私たちが充実した生涯を送れるかどうかは、祈りを通して神との関係を深めていけるかどうかにかかっている。と言います。

イエスは御父の癒しと救いの愛を、人類一人ひとりにもたらすためにこの世にこられました。だから、まず自分自身を完全に主の手に委ねることです。主が私たちを愛し、抱擁し(特に人生の最もつらい時には)、決して見捨てることがないと信じることです。そうすれば、人生の苦しみと混乱のさなかでも希望が与えられますと。

著者の死後、ニューズウイーク誌は「死に方をこの人に学ぼう」と数ページにわたって特集を組みました。それは次のことにまとめられると思います。

この世の事物を手放し、主と完全に一つになり、主の支配に任せてこそ本当の自分が見つかります。捨てることです。私たちは救いを体験し、からだや感情や魂の苦しみのさなかにも、いのちとやすらぎとよろこびを見つけることができます。

すなわち、これまで自分に安心感と満足感を与えた多くの事物を手放さなくてはならないということです。そうしてこそ初めて、神への信仰がもたらす癒しを得られるのです。

そして、最後に著者は私たちにこのような言葉を残します。

「疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう。わたしは柔和で謙遜の者だから、わたしのくびきを負い、わたしに学びなさい。そうすれば、あなたがたは安らぎを得られる。わたしのくびきは負いやすく、わたしの荷は軽いからである」(マタイ11/2830

通常、くびきは2頭の牛をつなぎ一組にして働かせる役目をします。イエスは「わたしの傍らを歩きなさい。どのようにして重荷を負ったらよいのか、わたしのやり方を見て、その通りにやってごらん。わたしの助力を望むなら、きっと重荷は軽くなるはず」とおっしゃっているのではないでしょうか。

この本を読まれたら、その秘訣がわかります。一人ひとり、やすらぎの贈り物がいただけますように。

 

 

■ジョセフ・カーディナル・バーナーディン 著(石井 朝子 訳)/ドン・ボスコ社 刊/1,500円+税

更新日:2015年4月7日


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執筆者

パトリシア

本が大好きな広報部員。夏は十勝にある広大な農地で畑仕事に精を出し、札幌と十勝を行き来しながら、晴耕雨読の日々をおくっています。
洗礼名について/パトリックの女性名。聖パトリックはシャムロック(アイルランド語でクローバーの意味)が象徴。アイルランドの守護聖人。



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