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主任司祭のメッセージ Message from parish priest

『待降節によせて』

2017年12月03日| 加藤神父

山鼻教会の前庭の見事だった紅葉も終わり、イチョウの木の透けるような黄色い葉も落ちて、昨年同様今年も大量のイチョウの実が枝もたわわに実りました。一晩の風雨で、一気に木の周りは足の踏み場もないほどに銀杏の絨毯になりました。もったいないのと道路の汚れ匂いを考慮して、桶二つ分も拾いました。それからが大変です。二日がかりでその大量の実の皮むきに従事することになってしまいました。ミニバザー出品に向けての準備です。今年の益金は「新司教館」への献金に充てられます。
この作業をしながら十年前の神学校時代を思い出しました。毎年、皮膚のかぶれに悩まされながらずっと銀杏係をやったこと、多い年には益金のほとんどを銀杏が稼ぎ出したこと、これを買って下さる大勢の人々との触れ合いを通して神学生を応援してくださったことなどが、今は懐かしい思い出となって心に浮かんできます。
昨年は神父が作った銀杏ということで、半分は義理だったでしょうが、数か所への施設への献金ということに賛同して下さった方々の好意で完売しました。
弱い立場にあって、そこから抜け出そうにも声を出すこともできない人たち、もがいてもあがいても、同じ罪をくり返してしまう私たち、そんな弱い人間がこの地上には大勢存在しています。そのような私たちと共に歩み続けてくださる神の存在は、私たちにとって大きな希望になっています。どんな人をも見捨てることなく目を掛けて下さる神に感謝です。神がそのようにしてくださるから、私たちも弱さを抱えながら生きていくことができるのです。
すべての人たちに大きな愛と憐れみをかけてくださる御父の恵みを与えて下さるために、この世においで下さった御子イエス・キリスト。その御子の降誕を祝う私たち一人ひとりが、大いなる贈り物を携えてきた「東方の三博士」にならって、自分しかできない特別の贈り物をささげなければなりません。それは高価なものではありません。同じ弱い立場にある者同士が自分に出来る少しの親切心、やさしさ、謙虚さ、愛おしさを分け与えることです。その日の食物を分け与えられた貧しい者が、それを自分たちだけで食するのではなく、同じ貧しい者にもさらに分け与えるということを耳にしたことがあります。
教皇フランシスコは今年から「貧しい人のための世界記念日」を設け、信者の良心に呼びかけ、貧しい人々や苦しんでいる人々の叫び声に対して敏感になるよう促されました。私たち一人ひとりがすべての人を救うためにこの世に来られた御子に倣い、待降節を前に私たちの心が弱い立場の人たちに向けられますよう共に願ってまいりましょう。


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